第6回 幽霊屋敷を「夢のお店」に!
「ウルトラクイズ」負けじと即ボタンを押した私!!!
ジャカルタのイベントツアー”Caravan”を終え、バリ島に戻って参りました。2013年から本格的に行っているこのツアー、年に2度ほどチカランにもおじゃましています。回を重ねるごとに知り合いが増え、応援して下さるのがうれしくてたまりません。今回はまた「ラマダン」を前にいつもより盛り上がったように思います。この”Caravan”を始めるようになったきっかけは、実はこれからお話する「夢のお店」だったのです。
ウブドに新しく『sisi本店(プンゴセカン店)』をつくっている当時。著者(左)と職人さんです。
ウブドの中心の人通りが多く、家賃が高いので小さいけれど開けた日からたくさんのお客さまが来て下さる場所にするべきか、郊外に広い場所を借りオフィスが併設したお店をするか…
「ご縁」を本当に強く感じるここバリ島ウブドで、その「出会い」は やって来ました。
当時、出来立ての「新築の家」に引っ越し前のウブドの「仮住まい」を引き続き借り、sisiのオフィス&倉庫として使っていました。その近くには、外国人も食べやすいおいしいナシチャンプルのお店がありました。妙に大きい、手入れされていない「幽霊屋敷」のようなその建物の軒先にあった小さい屋台のようなお店。建物の中で食べれなくもなく、一応机といすが2組ぐらいあったのですが、妙におどろおどろしい壁画があって異様な感じ。
お店のIBUに聞いてみると「息子が絵描きで描いてるの。元はギャラリーだったんだよ」とのこと。内容を選べば3歳の娘も喜んで食べる、その近所の「ナシチャンプル」を重宝していた私は、そのナシチャンプル屋さんと建物を「変な組み合わせ」だな、と思っていました。
そんな ある日、そのナシチャンプル屋さんのあった「妙な建物」の前に「この建物貸し出します」の文字が! 数日、ナシチャンプル屋さんが出ていなくて困っていた矢先でした。
「ウルトラクイズ」のごとく即座に「借りる! ここっ!」とボタンを押した私。バリ人専務のKawaiに付き合ってもらって早速大家さんに連絡後、中を見せてもらうことに。
ひ、広い!
ナシチャンプル屋さんはちょうど、今のsisiのテラス部分(ドライバーさんやガイドさんが待って下さっているところ)。その後ろに広い部屋があるのは知っていたのだけれど、さらにその後ろに部屋がいくつか! 妙に区切られた小さな部屋がちょっと「異様」で、廃墟で肝試している気分。
こんな広い敷地を使いこなせるだろうか? とちゅうちょしかけた私の背中を押したのは「賃料」の意外な安さ。もちろんウブドの中心からぐっと離れたロケーション(今もガイドブックの地図の下ギリギリ)というのもあるのでしょう。 私は昔から、「逸れた場所」が好きで、 同時にハートをくすぐられました。
大家さんのテクニックなのでしょうか、「今日オーストラリア人が見に来て金額聞いて帰ったよ」なんて言うものだから、翌日には手付金を払ってしまいました!(後々聞いたら、それは友人の夫でした)
私はデザイナーでありながら、同時に経営者。脳の中の配分は「経営者」である比率が断然より大きく、場所が決まったら「この人通りのないところで、どうやって売っていこう??」とドキドキワクワク! でも、その前に「お店」自体を作らねばならない。大き過ぎてイメージが出来ないほどだった場所を「あ、そうだ!」と思いついて、出来たばかりの自宅に似せて作りました。タイルや壁の色、窓枠などなど。 自宅に似てるから落ち着くのは当然! sisiプンゴセカン店に来て下さるお客さまを「自宅に招くようにおもてなし出来たら」と思うようになりました。
奥の一段高くなった部屋はアトリエ風(実際はすごく雑多な作業場ですが…)にして、そこから作業をしているところが見えたり、逆にスタッフからもお客さまの様子が見えるように。小さな部屋はキッズスペースにして、わが子もそこに転がしておきました。小さなキッチンまで作りました。
「夢のお店」では、したかったサービスがありました。
それは、お客さまはもちろんのこと、ガイドさんやドライバーさんにお茶やコーヒーをお出しすること。
布の買い付けでネパールに行ったときにとてもうれしかったのが「お店で出してくれるチャイ」。お店の人たちは皆おもてなし好きのおしゃべり好き。買い物するかしないか分からない通りすがりの私に「チャイ飲みますよね?」と返事も待たずに用意してくれる。一度「断らずに飲み続けたらどうなるか」と挑戦した同伴の友人は「7杯! もう無理」と笑っていました。
それを私はウブドのsisiで、どうしてもしたかったのです。
ついに夢を叶えました! 2018年『sisi本店(プンゴセカン店)』の店内風景より。
<次回の掲載につづく>
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