城田実さんコラム 第13回 「コメ問題にみるインドネシア」 (メルマガvol.24より転載) 久しぶりにちょっと溜飲が下がる記事に出会った。そこには、「政府の補助金を受けた安いコメを一般の普通米と混ぜ合わせ、それに不当に高い値段をつけて販売した業者が摘発され社長が逮捕された」と報じられていた。しかもその会社はスーパーのコメ売り場でもよく目にする大手の精米・流通会社(IBU社)だ。 コメは国民2億6千万人の主食だから、稲作農家と消費者の間で暴利を貪る中間業者は悪徳商人の代表のように見られている。私がインドネシア語のテキストとして使っていたインドネシアの小学生向け「国語」の教科書の中にも、貧しく無知な農民に金を貸し付けて収穫時にモミを安く買い叩く高利貸しが描かれていた。その高利貸しのことを教科書では吸血虫と呼んでいたように覚え...19Aug2017城田 実「インドネシア生々流転」
城田実さんコラム 第12回 「東ティモールを回想する」 (メルマガvol.22より転載) 今回はインドネシアの隣国に関わることについて書いてみたい。2002年、21世紀になって世界で初めて独立した東ティモール民主共和国のことだ。 東ティモールは、宗主国ポルトガルが1974年の政変で海外の植民地支配を放棄した結果、様々な独立の動きが加速して武力対立がエスカレートする中でインドネシアの武力介入を招き、結局併合されたという経緯がある。その後も東ティモールではインドネシア統治への抵抗運動とそれを弾圧する軍事作戦が続き、1991年には軍によるデモ隊への発砲で400人近くが死亡するサンタクルス事件も経験した。 しかしスハルト政権崩壊後に就任したハビビ大統領が1999年8月に東ティモール独立の是非を問う住民投票を実施し、住民の8割の...01Aug2017城田 実「インドネシア生々流転」