生島尚美さんエッセイ / 新・バリ一代ドタバタ記 (メルマガvol. 85より転載)

第14回 まさかの事態にどうする私!?
 でも、ドキドキワクワクが隠せなかった。(笑)

著者近影。海宝丸の舟盛りに大喜びでーす。



  こちら、バリ島・ウブド。

  「観光地」でのビジネス、仕事というのはこういうことなんだ、とまたまた再認識。

  11月末から約2週間ほど、お客さまが「ほぼいらっしゃらない」という状態が続いています。

  週に半分ほどはなんと、「売り上げゼロ」という日があるほど!

  もちろん、日本のオンラインショップ、ジャカルタからのご注文などが入ることもあるのですが、基本的にウブドのお店、そして系列カフェなどはお客さまが数組いらっしゃったら「あ、良かった!」と思うほど。 

   12/20ごろからクリスマス、年末のお客さまがいらっしゃい始めるよ、とエージェントさん情報が入ってはいるものの、やはりドキドキ。

  元HISのうちの専務 KAWI(バリ人)は、「去年のアグン山の噴火、そしてロンボク島の地震でしょ? やっぱりお客さんはコワイわなぁ〜」と不思議な関西弁で言っていました。

  2000年初頭に起こった2度のバリ島のテロ事件、そしてSARS、鳥インフルエンザなどの騒ぎのことを思い出します。

  しかし、さすがのバリ人、「暇だわ〜〜」と言いながらも日々笑いっぱなしで過ごしています。お金がないのに平気な彼らのあのタフさ、20年近くこの島と関わっていながら、本当に尊敬!しつつも、私はそこからあまり学べていないのか、ハラハラしてしまうのです。

  さてさて、前回のお話の最後、皆さんまだ覚えておいででしょうか?  

 初夏に起こった「トンデモナイ、百戦錬磨(?)の私も全く予想できなかったこと」とは?  そうです、あの時は思い出しただけで冷や汗をかくほどです。

  が、実際あの日の私は周りも私も驚くほどに「冷静」だったのです。

  それは、20:00に起こりました。

  某サービスアパートメント「G」にて行われる翌日からのバザー(私が主催するCaravan Bazaar)。私はバリ島から一緒に参加するメンバーと夕方からGにて搬入作業をしていました。Gはジャカルタの日本人のご家族がたくさん暮らす人気のアパートメント。

  sisiは商品アイテムが本当に多い為に3人掛かりでも2時間程かかってディスプレイ。その日も途中から置き切れないストックを前に何度も「ああ〜〜〜!」なんて言いながら、黙々と作業し続けていました。  sisi以外にも5-6組のショップさんが翌朝のバザーのために作業をしていました。

  ここ数年、ジャカルタのサービスアパートメントのファンクションルームを借りて行うことの多いバザー。中でもこのGはアクセスも良く、Gに住んでる方、そしてすぐ近くのアパートから時には会場に入り切らないほどのお客さまが来て下さっていました。アパートのスタッフさんたちもとても協力的でとってもやりやすい会場でした。

  作業を終え、18時頃、そのアパートメントに暮らす仲良しの駐妻さんのお家にお呼ばれし、仲間と一緒にワイワイ楽しく過ごしていました。もう何度もしたGでのバザー、「明日も盛況でありますように!カンパ〜イ」なんて言いながら。

 「明日早いから早く解散しましょう」なんて言って、そう、20:00に私たちは帰ろうとして、Gのレセプションの前を通り過ぎようとしました。

  実はそのとき、夏休みが始まっていたのもあり(バリのうちの子どもたちの学校は夏休みが6月から始まる)小4と小6の子どもをバリから連れて来ていました。

  レセプションのスタッフが「ナオミさ〜〜ん! 良かった! さっきから何度も電話していたのですが、通じなくて、探していたんです!」と。

  確かめると私の携帯は充電切れ… 

「ああ、ごめんなさい、どうしました?」と私が尋ねたところ、ちょっと困った顔でGのスタッフのひとりが「明日のバザー、オーナーがダメだって言ってるので「キャンセル」でお願いします」と。

  全く事情が把握できなくて、「???」の私。仲間は少し離れた所で「??」と。

 「いや、、、へ?どういう意味? もう会場、明日の準備バッチリできてるし、そんなわけないでしょう。どういうこと?」と聞くと「Caravanは本当は全く問題ないし、関係ないって何度も言ったんですが、他のイベントの時に、会場の入り口付近でローカルの人が座り込んで食べ物を食べたり、大声を出して騒いだりして住民に迷惑がかかったらしく、オーナーにクレームが入って、全てのバザーはダメだ、と。なので…」と。 

 いやいや、18時までワイワイ搬入して、それを見たスタッフも「いよいよ明日ですね〜」なんて言ってたじゃないの!?  いやいや、無理無理無理!!  なんでせめて搬入前に言ってくれなかったの? レンタル代もお支払い済ませてるし、そんなことが通るわけないじゃない! オーナーに言って! せめて、「今回が最後で良いので」と懇願。

  日本だと「責任問題だ! そんなわけないだろう、責任者出せっ!」と言えるのでしょう。  

 しかし、何度も過去に行ったイベントは、Gの協力で本当にすばらしいものだったのです。現場のGのスタッフは「そうなんです、おかしいのです。何度もCaravanさんのバザーはそんな問題起こってません!と説明したんですが」とその時も何度かオーナーに掛け合ってくれて…

   私の様子を見て11歳(当時)の娘は「何か問題が起きている。でも、ママがきっとちゃんと解決する」と思っていたそうで、「時間ちょっとかかりそうだから、お部屋に戻って先に寝ておいて」と伝えると他のメンバーに連れられ宿泊先に帰っていきました。



  とは言え、「キャンセル?」そんなわけはないだろう…と思っていた、信じていた私。 スタッフが「今回が最後、ということで承諾を得ました」と30分ぐらいしてから言ってくれたので私も安心して車で5分ほどの宿泊してる部屋に帰って行きました。寝る準備をして待っていた子どもたちに「大丈夫だよ、ビックリしたねぇ」なんて笑っていたら、Gから電話が… 

 「ナオミさん、スイマセン! やはり、オーナーがダメだから撤収してもらって!」と電話がかかって来たのは22:30。翌日のバザーは朝8:30スタートで、いつもそのバザーには300名ほどのお客さまが朝から駆けつけて下さる。

  当初、そのアパートメントに直結してる「モールでしたら?」など提案頂いたものの、モールは通常10時から22時頃までの営業時間で、その間 はずっと営業しておかねばならない。私たちのバザーは8:30から13:00頃まで。条件が違いすぎる!  

 バリ島から来ている私たちももちろんですが、スラバヤ近郊の街から18時間かけて車でやってくる出店者さんもいて、まさか「キャンセル」はあり得ない。Gスタッフとやり取りし、Gに住む何組かの仲良しの駐妻さん、旦那さんまで巻き込んでオーナーに交渉したり、が続きました。

  そして数日前に行なった『ワンパークレジデンス』での初バザーのことを思い出しました。バザーをマネージメントのスタッフさんが見に来られて「盛り上がってますね! まだエアコンはないんですが、次回はもっと広い『ピンポンルーム』でしませんか?」とおっしゃっていた…  

 とは言え、その部屋をその時は見てなかった私。 

 Gのスタッフの協力でワンパークに連絡してもらい急きょ見にいくことになりました。私たちは普段、別の所に泊まっているのですが、その日は子どもたちも一緒にバリから来ていたのもあり、泊まっていたのはその「ワンパーク」。スタッフにお願いして、その「ピンポンルーム」を見せてもらったのは23:30。

  広い! 出店者さん皆さんを収容することは可能(こんな広い部屋でピンポンするの?? クーラーなしで?)。ワンパークさんも「ここなら使えるよ!」と言って下さって。

  しかし、クーラーなし、開閉出来る窓なし、ドアがひとつ開くのみ…

  翌日のバザー、灼熱の1日になることは必至。「ここでどう判断するか、が私の役目だな」と思うと、妙にドキドキ、そしてワクワクまでしてしまっている自分に驚きました。後で"Caravan"チームに聞いたら「そんなに不安はなかった。ナオミさんが妙に冷静だったし、目がキラキラしてた。ちょっと楽しかったんでしょう?」とまで!

  GO! 

 Gから距離で言えば1kmほどのワンパークの「ピンポンルーム」に完璧にディスプレイされた商品たちを移動させたのは深夜1時でした。

  あぁ、7時間半後にここでバザーが行われる!

 深夜でしたが、既に「会場が変わる可能性があります」と前もって伝えていた14組ほどの出店者さんに連絡をし、「眠れないだろう」と思いつつベッドに入ったのは3時ごろ。ところが、恐いもんですね、6時ごろまで熟睡してしまいました。

  翌日のバザーは…多くの友人知人、お客さまの情報シェア力(ジャカルタの各アパートメントのLINEグループや皆さまのインスタグラム!)のお陰で、当日は大混乱を招くことなく、お客さまは新しい会場にまっすぐ来て下さって、「昨日から大変だったんでしょう??」とねぎらって下さる方がたくさん!

  私はすでにインスタグラム、Facebook、そしてLINE@で「面白おかしく」このハプニングをお客さまに実況し、そして「Caravan史上最高に熱いバザー」と名付けて告知していました。


当時のSNSです。実況中継?


 案の定、始まってすぐに会場は太陽の位置とともに温度が急上昇!

  出店者さんたちに「熱射病にならないように、水分摂り続けて〜」と声をかけ、氷水をお客さまにどんどん配りました。  「あの、うちに大きい扇風機があるんで、持ってきます」とお客さまがお部屋から2台運んで下さいました。「命が救われました〜〜」と出店者から声が上がりました。

  そんな過酷な環境の中、いや、そうだったからこそ、会場の人々の熱気もヒートアップ!

  それこそ忘れられない「最熱のバザー」となりました。

当日の会場の様子。暑そうですね〜。


 色々な会場でいつも「新しい試み」をして行くことをモットーとしているCaravan、毎回多かれ少なかれトラブルは付き物で、それにどうやって対応出来るか?というのが私の課題でもありますが、この『アパートGドタキャン事件」の後には「どんなハプニング」も恐くなくなりました。

  これからも、「試され」、そしてそんな時だからこそ「人との繫がり」、そして「人の優しさ」が身に染みる、こんな楽しいライブ感満載のイベント"Caravan"、続けていくつもりです。  

 どうぞ宜しくお願い致します。


<次回の掲載につづく> 



チカラン日本人会 (CJC)

西ジャワ州ブカシ県チカランやカラワンに住む日本人の集い「チカラン日本人会」は2015年11月に発足。地域のさまざまな情報を交換し、問題を共有、解決を図る組織を目指していきます。

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